智絵里「うさぎさんにチョップしたらタイムスリップしてしまいました」
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16: ◆vNoifR2vNc[saga]
2018/08/15(水) 12:14:05.45 ID:2c4OR7u90


愛里さんが涙をぬぐったハンカチをしまう頃。

美穂ちゃんが、愛里ちゃんよかったね、と言いながら切り出しました。


美穂「ねぇ、智絵里ちゃん……よかったら、そのお手紙……読んでみてもらえますか?」

智絵里「あっ……はい、わかりました」


この中に、未来の<わたし>が残した言葉がある。

結局、わたしは<わたし>のことが一番わからなくて。緊張につばをのみます。

高鳴る鼓動を抑えるために深呼吸をしてから、先ほど渡された封筒の封をそっと切りました。


「――はるか昔の私へ

 あなたがこれを読むとき、おそらく、かなり差し迫っている状況になっているでしょう。

 もうすぐでいなくなってしまう私の代わりに、この手紙が少しでも助けになればと思います。


 さて、あなたが、そこにいない私に聞きたいことは、おおよそわかっているつもりです。

 私が知ることをすべて語れば、私が今日死ぬことも、もしかしたら変わるのかもしれません。

 ただ、きっと周りの人がいろいろ教えてくれているでしょうから。私から言えることはひとつだけです。


 これから、あなたはいろいろなことに出会うでしょう。時には泣いて、傷ついて、後悔するようなことが、たくさんあるでしょう。

 でも、それらは、時が経てば経つほど、忘れられず、手放せなくなり、とても大切なものになっていきます。

 だからどうか、最後に、すべてが終わるときに、幸せだったと言えるように人生を送ってください。

 
 ――わたしは、私を想ってくれる人たちに囲まれて、ちゃんと幸せでした。


 最後に。そこにいる人たちの想いを、しっかり受け止めてあげてください。あなたにはそれができるはずです。

 特にPさんは、私が言ってもずっと聞きませんでしたから。頑固に後悔し続けているような気がします。

 よかったら、最後のお話を、聞いてあげてください。

 
 ――智絵里」


――その手紙の最後に書かれた名前の、すぐ近くに。何かがしみ込んだような跡が残っていました。


智絵里「未来のわたし……やっぱりダメな子だったのかなぁ……」


そこで死ぬことがとっても悔しかったくせに、ずっと自分の気持ちを隠して、最後まで笑い続けたのだと――

それが理解できたとき、わたしはわたしがこの時代に、何のために来たのかを悟ったような気がしました。




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