智絵里「うさぎさんにチョップしたらタイムスリップしてしまいました」
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◆vNoifR2vNc
[saga]
2018/08/15(水) 12:03:57.66 ID:2c4OR7u90
智絵里「それで、美穂ちゃんは……やっぱり、この時代の<わたし>から聞いてたの?わたしが来ること……」
美穂ちゃんは、その質問を聞き届けると。
急に黙って目を閉じて、寂しそうな表情になりました。美琴ちゃんと美柑ちゃんも、口を噤んでいます。
美穂「……そう、だよ。プロデューサーさんがもうすぐって時になったら……多分行くと思うって。……聞いたのは、もう15年も前だけどね」
智絵里「……そう、なんだ」
……予想が確信に変わります。……だって、だれも、今のわたしのことを話してくれないから。
美穂「……うん。あのね、智絵里ちゃん……この時代では智絵里ちゃんは、……15年くらい前に、亡くなっているの」
ただ、自分が死んでいる。告げられたその事実は、予期していても頭の中をぐちゃぐちゃにしていきます。
智絵里「そう、ですか……どう、して……」
そんなことを聞いてもどうしようもないのに。そんな言葉が口から出てきていて。
美穂ちゃんは、昔のことだけどね、いい?と確認します。
わたしがうなずくと、ぽつぽつと話し始めました。
美穂「……病気だったの。ある日突然、血を吐いて倒れて……意識は取り戻したけど、もう手の打ちようがないってお医者さんが言ってたよ。それから、たった数日……だった。眠るように、私たちを置いていっちゃった」
美穂「智絵里ちゃんが倒れてから、私も、なにもかもほっぽり出して病院に行ったんだ。そしたら、智絵里ちゃん笑ってたよ。何にも心残りはないーって感じで。……それで。その時渡されたのが、このお手紙なんだ」
美穂ちゃんは、古びた封筒――はるか昔の私へ、と書かれた――に入った、一通の手紙を差し出します。
わたしは、両手でそっと受け取りました。
美穂「もし昔の姿の私が来たら渡してほしい、って頼まれたの。……断れるわけないよね。だって、親友の……智絵里ちゃんの、最後のお願いだったんだもの」
美穂「私がわかったって言ったらね、これで安心です、ってまた笑ったの。ずるいよね……智絵里ちゃんの笑顔って。こっちが何にも言えなくなっちゃうんだから」
気づくと、美穂ちゃんは、また目に涙を溜めていて、言葉も震えていて。
美穂「だから、わたし……ずっと忘れずに待ってたよ。……まって、……たよ……ちえりちゃ……、ぁぁぁ……」
とうとう美穂ちゃんの両目から、大粒の涙がぼろぼろと落ちました。同時に、美穂ちゃんはわたしに抱きついてきて、ついに泣き出してしまいました。
ここは50年後で、わたしが死んでから15年も経っていて。それでも、変わらず友達でいてくれて、最期の頼みすらもきちんと聞いてくれた。
――途方もない話で、でも本当の話、でした。
智絵里「美穂ちゃん……ありがとう。本当に、ありがとう……」
わたしは、それだけを言って、美穂ちゃんの細くなった体にそっと腕を添えました。
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