智絵里「うさぎさんにチョップしたらタイムスリップしてしまいました」
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◆vNoifR2vNc
[saga]
2018/08/15(水) 11:55:10.02 ID:2c4OR7u90
美柑「わ、うさぎさんだぁ……!学校にもいるけど、触ったことはなかったんだ」
美柑「えへへ…よしよし、いいこいいこ……あはは、くすぐったいよぉ」
車の中、うさぎさんと楽しそうにじゃれあう美柑ちゃんを微笑ましく見つめつつ。
なにぶん、この時代に来てからいろんなことが起こりすぎていて……わたしは、頭の中を整理し始めます。
――ここは、50年後。
――プロデューサーさんの家にいた美琴さんと美柑ちゃん。
――美琴さんと美柑ちゃんは、美穂ちゃんの孫と、わたしの孫。
――余命宣告を受けているプロデューサーさん。
――わたしを病院に連れてくるように伝えていた美穂ちゃん。
――病院で待っているという、わたしの娘の愛里さん。
……そこから考えることはいくつもありました。
特に、この時代のわたしのこと。多分、きっと<わたし>は――
そう考えると、わたしはこれから起こることへの覚悟を決めなければなりませんでした。
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考えごとをしていると、不意に車が止まります。
香苗「……さて、着いたわね。あたしは……ここからは遠慮しておくわ」
智絵里「……そうですか……。ここまで連れてきてくださって、ありがとうございました」
香苗「いいのよ。やるべきことを、やってらっしゃいな。一応ここで待っているから、また何かあったら帰ってらっしゃい」
香苗さんは、病院の前に車を止めると、そう言ってわたしたちを送り出そうとします。
でも……なんとなく、もう香苗さんとは会えない、そんな予感がしました。
香苗「そんな顔するんじゃないわよ。かわいい顔が台無しよ?大丈夫、あなたが生きてたら、また50年後に会えるんだから」
わたしの顔はいつの間にか曇っていて……そんなわたしに、香苗さんは出会った時のようにウインクをして言います。
香苗さんがわたしを勇気づけようとしてくれているのがわかって、……それを無駄にしないように、わたしは。
智絵里「はいっ。ありがとうございます、いってきます!」
できるだけの笑顔を作って、足元を跳ねるうさぎさんを連れて、病院に向かいます。
途中、ふと振り返ると、香苗さんは親指を立ててくれて。
わたしはうなずいて、まっすぐに進みました。――今度こそ、振り返らずに。
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