智絵里「うさぎさんにチョップしたらタイムスリップしてしまいました」
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10: ◆vNoifR2vNc[saga]
2018/08/15(水) 11:52:10.00 ID:2c4OR7u90


香苗「あー……ごめんなさいね、だいぶ込み入った話になってたから、首突っ込む気はなかったんだけど」


わたしが泣き止むころ、それまでずっと黙っていた香苗さんが口を開きました。


香苗「……なんか、智絵里ちゃんが最初から本人だってわかっていたような口ぶりだったけど、それはどうしてなのかしら?」

美琴「はい。それは……祖母からこっそりと指示を受けていたんです」


――もし、万が一。智絵里と名乗る女の子がやってきたら、話を聞いて、ある場所まで連れていくように、と。


智絵里「ある場所……ですか?」


美琴さんは、決心するように呼吸をしてから告げました。


美琴「智絵里さんの夫……プロデューサーさんの入院している病院です。愛里おばさんも、そこにいます」


……なんか、そんな気はしていました。プロデューサーさんの名字の表札に、住んでいたのはわたしの孫、でしたから。

どんな反応をしていいかわからないところへ、美琴さんは続けました。


美琴「……その。実は……余命一か月と言われてから、今日で一か月になるんです……」


プロデューサーさんが、もうすぐ死ぬ……?

それは、自分の時代のプロデューサーさんじゃない。わかっていても、否応なしに身体は震えは止まりません。


香苗「……よし。なら、さっさと行くわよ。行って、しっかりと見送る。それが生きている側の役目よ」


香苗さんがぽんっとわたしの背中を叩いて、わたしの意識を引き戻します。

あまりにも決然としたその言葉は、またわたしを勇気づけました。


智絵里「……はい、行きましょう。美琴さん、道案内をお願いできますか」

美琴「ええ、任せてください。美柑も、いい?」

美柑「だいじょうぶだよ!智絵里ちゃんにはわたしがついてるの!あとおかあさんにも教えてあげないと…!」

香苗「じゃあ全員あたしの車に乗って!全開で行くわよ!」


そして全員で出て、香苗さんの車のドアを開けた時、うさぎさんがぴょんっと飛び出してきました。


智絵里「わわ、あぶなかった……もちろん、あなたも一緒だよ、うさぎさん」


うさぎさんは満足そうにわたしの胸に頭を擦りつけてきます。


香苗「それじゃ、美琴ちゃんは助手席お願い!後ろの二人もシートベルトしっかりね!行くわよ!!」


香苗さんがてきぱきと号令をかけます。

そして、先ほどと同じようにエンジンが高鳴り、車はあっという間に空へ駆け出していきました。




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