99:名無しNIPPER
2018/08/12(日) 01:24:56.03 ID:w6V3e5/y0
ユニットは評判を呼び、私たち三人は社内フェスに呼ばれることになった。
以前のような新人のフェスではない、ドームを借りた大きなフェスに。
「なんだか、あっという間な気がするな」
ドームの中、私たちはスタッフ専用の通路から、ひっそりとお客さんを伺っていた。
「あんな場所に立てるって思うと……緊張しちゃうね……」
「でも、頑張ってきたんだもん。ここでもうひと頑張りだよ」
そんなとき、私はあるお客さんに目が言った。
小さな子供を連れた、三人家族のお客さんだった。
女の子は可愛いウサギ耳をつけて、ぴょんぴょんと跳ねている。ウサミンこと、安部ちゃんの衣装だ。
きっとファンなんだろう。
やがて、彼女はその場でポーズを決めてから、踊りだした。新しいウサミンの歌の踊りだ。
拙くて、でも一生懸命で、お父さんとお母さんは嬉しそうにその様子を見ていた。
その踊る姿が、写真の中で笑っていた幼い少女と重なる。
(あ……そうだったんだ……)
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