白菊ほたる「恨みます、プロデューサーさん」
1- 20
98:名無しNIPPER
2018/08/12(日) 01:23:55.36 ID:w6V3e5/y0



「彼の奥さんとの。もう一度、プロデュースしている姿が見たいって。そして貴方が育てたアイドルが、輝いてる姿を見せてほしいって。この約束をしたとき……もう助からないって、本人も分かってたと思います」

「じゃあ、なんでそんな約束を……?」

「彼に前を向いていて欲しかったんです。彼女にとって、彼が一番輝いていた瞬間が、プロデューサーをやっているときで……」


「でも……」と、ちひろさんは顔を俯けた。


「結局、彼は去ってしまって……ごめんなさい。ほたるちゃんにも迷惑をかけることになってしまって」

「迷惑なんて、そんなことなかったです。私は……あの人にプロデュースしてもらって、本当に良かったと思ってます」

「……優しいんですね、ほたるちゃんは」

「違います。優しかったのは、あの人です」


 ただ、それを上手く表現できなくなっていただけなのだ。

 ボロボロで、それでも私の傍に、出来るだけ居ようとしてくれた。


 そうしてくれたのは、彼がとても優しかったから。



「……ありがとうね、ほたるちゃん。貴方が彼のアイドルで居てくれて……本当に、本当にありがとう」


 ちひろさんは私に背を向けたまま、呟いた。それから口元を少し抑えて、大きく、肩で息をしてから、振り返った。



「さあ、早く運んじゃいましょう。お礼にジュース、奢ってあげますから」


 微笑んだちひろさんは、ネットで見つけたかつてのアイドルに、少しだけ似ているようだった。








<<前のレス[*]次のレス[#]>>
116Res/145.93 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice