69:名無しNIPPER
2018/08/12(日) 00:43:18.16 ID:w6V3e5/y0
「ほたる?! どこだほたる!!」
岩場のむこうに小さな人影が見えた。
ここからでもはっきりと分かるほど、必死に周囲を探している。私は手を挙げて大きく腕を振り、居場所を知らせる。
「こ……ここです……プロデューサーさん」
「ほたる!」
近づいてきたプロデューサーさんを見て、私は言葉を失った。
そんな表情のプロデューサーさんは初めてだったから。
おびえるような顔。まるで今にも泣きだしそうで。
私を見つけたことに、心から安堵しているようで。
「ほたる、ほら……手を伸ばして」
私は言われるがまま両手を伸ばすと、それを掴んで、抱き上げるようにプロデューサーさんは持ちあげた。
そうかと思うと、彼は膝をついたまま私を抱きしめる。私が痛くなるほど強く、強く。
「良かった……無事でよかった……」
「プ……プロデューサーさん……」
「海に近づくなって、言っただろう」
「ごめんなさい……」
嗚咽にも似た息遣いのプロデューサーさんに、私はなにも言えなくて。
しばらくは、彼のなすがままになっていた。
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