54:名無しNIPPER
2018/08/12(日) 00:15:01.69 ID:w6V3e5/y0
そう宣言したけど、プロデューサーの反応は曖昧だった。
びっくりはしてるようだけど、喜んでいるようにも、落ち込んでいるようにも見えない。
ただただ、驚いていた。
「プロデューサーさん?」
「……じゃあ、どうやって行こうか」
私は首を傾げた。妙なことを心配する。
「どうやってって、プロデューサーさん、車運転できましたよね」
そもそも、さっきは駐車場に向かおうとしていたではないか。
「……ああ、そうだが」
とても気まずそうに、視線を逸らして。片眉の上を撫でて。
彼は、ポケットから瓶を一本取りだした。
事務所近くのコンビニのシールが張られている小さな瓶は、半分以上亡くなっていた。
申し訳なさそうなプロデューサーさんと、つまむように持っていた瓶を見比べていて。
「えっ!?」
たぶん私は、今までで一番変な声で驚いたと思う。受付の人が目を丸くしていたから。
「まさか、お酒飲んじゃったんですか?!」
「断ると思ったんだ。今回は、だから」
「だからって御仕事中ですよ!」
「今日は休日だろ。俺だって休みだし……昨日も飲んでた」
朝の電話が、妙にかすれ声だったことを思い出した。夜遅くまで飲んでいたせいだったのだ。
「昨日も飲んでたのは関係ないじゃないですか?」
「もういいだろ……タクシーを捕まえるぞ」
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