55:名無しNIPPER
2018/08/12(日) 00:15:46.90 ID:w6V3e5/y0
気まずさを隠すように、プロデューサーは歩き出した。
納得しないながらも、私も彼の後についていく。事務所前で手を挙げてみたが、なかなかタクシーは捕まらない。
「くそっ、どうして捕まらないんだ」
「プロデューサーがお酒飲まなきゃ良かったんじゃ」
「悪かったよ。悪かった」
一度手を上げるのをやめて、両手を腰においたプロデューサーは、ゆっくりと首を振ってから、顔を俯けた。
「悪かった。さっきは。あんな言い方はなかった」
「……いいんです。プロデューサーさんの言うとおりですから」
タクシーが近づいてきて。プロデューサーさんは手を挙げた。
そのタクシーも、素通りしていく。両手を腰に当てて、プロデューサーは首を振った。
「なんで無視したんだよ」
「回送って、書いてありましたよ」
「回送か……そうか……回送じゃあな」
三度タクシーが通りすぎて、四台目でやっと止まってくれた。
二人で、タクシーに乗り込んだ。
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