37:名無しNIPPER
2018/08/11(土) 23:42:35.97 ID:S8sM1lda0
顔を上げると、傍に一人の少女が立っていた。
一件、生真面目さんという言葉がとても似合いそうな子。私よりも短いショートヘアーに、綺麗に着飾った服は堅苦しいとも感じられる。趣味は書道というのも、いかにも真面目に思わせる。
松尾千鶴ちゃんだ。
彼女は、裕美ちゃんと同じ関ちゃんプロデューサーが担当しているアイドルだった。
裕美ちゃんは、彼女との待ち合わせもあった。
「ほたるちゃんも、わざわざ居てくれたんですね」
「裕美ちゃんと話したかったし、千鶴ちゃんとも会いたかったから」
「ふうん、そうですか」
と、彼女は素気なく言ったけど。
「もう……嬉しいな」
椅子に座りながら言葉が続いた。
ハッとなった彼女は、恥ずかしそうに私たちを見比べた。
「……私、なにか言いました?」
「ほたるちゃんが会いたいって言ってくれたの、嬉しいって」
裕美ちゃんが指摘すると、ムッとなったようで。
「ええ、私そんな……いやまあ、そりゃあ嬉しいに決まってるけどさ」
またも千鶴ちゃんはハッとなった。
最初は話しづらい子かとも思ったけど、根はすごい良い人で。ただ、ちょっと本音が漏れやすいみたい。
「えっと……あっと、私も飲み物買ってきます!」
照れ隠しのように席を立った千鶴ちゃん。裕美ちゃんと私は、顔を見合わせて微笑んだ。
116Res/145.93 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20