33:名無しNIPPER
2018/08/11(土) 23:38:06.87 ID:S8sM1lda0
「これは?」
「私の幸運のお守り。ほたるちゃんにあげるね」
「お守りって、大事なものなんじゃ」
「うんうん、私の手作りだから。また作ればいいから」
手の中のそれが嬉しかったけど、始めて来た日になくした髪飾りを思い出し、晴れかけていた心がまた曇りだした。
「でも……なくしちゃうかもしれないから」
「なくしちゃったらまた作ってあげる」
私の不安を打ち消すように、裕美ちゃんは言った。
「私、アクセサリーを作るの大好きだから。ほたるちゃんが何度なくしても、作ってあげるからさ。だから、仲よくしないなんて言わないでよ?」
覗き込むような裕美ちゃんの視線は、優しさにあふれていて。
断ることなんかできなかった。
「……わかった」
「よかった。よろしくね、ほたるちゃん」
裕美ちゃんの顔に、またハイビスカスが花開いた。
「私はもう行くけど、ほたるちゃんはどうするの?」
「私はまだレッスンしていくから。もう少し、体を動かしておきたくて」
「うん、わかった。またね、ほたるちゃん」
「うん……またね」
裕美ちゃんと関ちゃんプロデューサーが、レッスンルームを去っていく。
残された私は、手の中に残されたペンダントに目を落とした。
オレンジで三日月をかたどった、綺麗なアクセサリー。
私はそれを首につけると、大きな鏡に映った自分の姿を見やる。胸元に輝くペンダントに、頬が緩んでしまう。
先ほどの裕美ちゃんとのやり取りが、頭の中で反響され、私の頬はますます緩んだ。
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