29:名無しNIPPER
2018/08/11(土) 23:33:02.20 ID:S8sM1lda0
「そ、そんなことないです……ちょっとびっくりしちゃって……ごめんなさい」
「ほたるちゃんが謝ることじゃないよ。ただな」
気にしてるのだろう。裕美ちゃんは指でずっと目頭を揉み続けていた。
そうしたら、目つきが少しは柔らかくなると思っているように。
でも、手を放しても裕美ちゃんの顔はさっきと一緒。
可愛いのだけど、目つきのきつさは変わらなかった。そして本人も、それは分かっているのだろう。小さく息をついた。
「こんな目つきだったら、アイドルなんてな。ほたるちゃんと違って、ダンスも全然だし」
「そ、そんなことないよ……裕美ちゃん、とっても可愛いから、素敵なアイドルになれるって」
「可愛いって……」
ジッと睨みつけられて、私はまた狼狽える。
「い……嫌だった? そういわれるの」
「そんなことはないけど……嬉しいよ。そりゃあ」
難しそうに眉間に皺を寄せていた。私はやっと理解した。
怒ってるのではなくて、照れているようだ。それが分かって、私はつい綻んでしまった。
「裕美ちゃん、やっぱり可愛いね」
「あ、ありがとう。ほたるちゃんも可愛いよ」
「そう……?」
「そうだよ。凄い可愛い」
言い返されて、私もなんだか照れくさくなった。お互いに黙ってしまい、ちょっと気まずくなって。
「……ふふっ」
「えへへ」
それからなんだか可笑しくなって、どちらともなく笑い出した。
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