12:名無しNIPPER
2018/08/11(土) 23:01:07.16 ID:S8sM1lda0
「えっ」
私の心がキュッと締め付けられた。
「ど……どうしてなんですか」
「ちょっと、色々あってね」
「色々って、一体」
「いやあ、大したことじゃないんだけど」
嘘だ。私はそう感じた。
大したことじゃないなら、どうして今日じゃ駄目なのか。
(まさか)
なにか大怪我でもしたのだろうか。
或いは。私の担当になるのを嫌ったのか。
私の不幸は知られていて、そんなものに巻き込まれたくないと思ったんじゃ。私をスカウトした彼の二の舞はご免だと。
きっとそうなんじゃないのか。
「ごめんなさい……」
そう思うと、自然と私はそう漏らしていた。
「ごめんなさい……私がご迷惑をおかけして……」
「ちょ、ちょっと。なんでほたるちゃんが謝るの」
「きっと私のせいなんです。全部……私のせいで……」
あの子の顔が頭に浮かんだ。あの子だけじゃない。いろんな顔が。
私に向けられる、侮蔑や軽蔑、憎しみの表情。
それを思い出すたびに胸が締め付けられる。思い出したくないのに思い出してしまう。
自分が不幸になるのはいい。ただ、誰かを不幸に巻き込むのは嫌だった。
116Res/145.93 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20