川島瑞樹「ミュージック・アワー」
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26: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/08/01(水) 01:05:42.48 ID:Ai+XpKnp0
瑞樹がアイドル課のリフレッシュルームへ向かうと、そこには早苗がいた。

「さっき、なんだか変なコを見たんだけど」

「楓ちゃんのこと?」

「“変なコ”でわかっちゃうのね……」

瑞樹は息をもらした。
自分をどう思っているかはともかくとして、瑞樹は楓のことを一目で気に入っていた。

「あのコ、なんだか私を目の敵にしてるみたいなんだけど……早苗ちゃん、心当たりある?」

「ありますねぇ!」

早苗はけらけらと笑った。すべてに合点がいっている。そのような様子だった。

「私の写真集がヒットしたから、かしら」

楓はモデルで、最近はあまり写真集を出していない。
瑞樹が被写体として売れたのが、気に入らないのではないか。

「ぶっぶぅ〜〜ハズレでーす」

早苗は口をすぼめて、愉快そうに言った。

「楓ちゃんはもうモデルじゃないわ。
 瑞樹ちゃんの少し前に、アイドルに転向したの」

「じゃあ、私が……その、注目されてるのが気に入らない、とか」

「ぶっぶぅ〜〜ハズレ2でーす。
 楓ちゃんはそこまで根性曲がってないよ〜」

たしかに。
少しの言葉を交わしただけだが、瑞樹は楓の純真さを感じ取っていた。

「ヒント、もっと単純なことです」

「単純?」

「童心にかえってみて。大体幼稚園くらい」

「保育園だったわ」

「じゃあ保育園児。で……」

瑞樹はこめかみにひとさし指を当てて、童心に帰ってみた。

「私は5歳…いえ4さい、よんしゃい…みじゅきはよんしゃい…」

早苗がほぼえずきに近い声で笑い出す。

「真剣にやってるんだから笑わないでちょうだい!」

「あっ、ハイ」

「う〜ん…おもちゃ…ぬいぐるみ……」

「近い近い。命を吹き込んで」

「命とは……せんせぇ…」

「いいカンジ」

「せんせぇ、みじゅき、と……ひょっとしてP君と関係ある?」

早苗が親指と人差し指で○をつくる。
瑞樹は答えにたどり着いた。



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