65:名無しNIPPER[sage saga]
2018/07/14(土) 18:35:10.01 ID:TXxgAIfuO
「昨日やっと、プロデューサーとしてひとり立ちを認められてね。したらすぐ、担当するアイドルをスカウトするのが最初の仕事だって言われて。スパルタでしょ。まあ、それは都合よかったし別にいいんだけど」
しばらくぶりの彼女との会話に、時間を忘れるようでした。なにものにも代えがたい喜びに浸っていたところ、ふと、気になる言葉に引っかかりました。
「……都合がいい?」
66:名無しNIPPER[sage saga]
2018/07/14(土) 18:36:09.53 ID:TXxgAIfuO
その質問は漠然としていて、すぐにこたえることはできませんでした。問いで返そうとする私を、しかし彼女の続く言葉が塞ぎます。
「あたしは、ひっどい間違いをしたよね。あたしがなんとかしなきゃって、ひとり思ってばっかりで、取り返しのつかないことして、結局余計に教会を追い込んだ」
「そんなことは……」
「それでも」
67:名無しNIPPER[sage saga]
2018/07/14(土) 18:37:11.56 ID:TXxgAIfuO
「貴女の歌声を、活かしてみるつもりはない? あたしと一緒に……大切な場所を守ってくれるつもりは、もうないかな」
一度は間違えた。だけど、だから、もう間違えない。間違えさせないから。
呟きと共に、差し出された手。
68:名無しNIPPER[sage saga]
2018/07/14(土) 18:37:45.93 ID:TXxgAIfuO
神父様やほかのシスターたちに、相談はしました。しかし、ほとんどする必要もなかったと感じられるほど、彼らはすぐに私の背中を押してくれました。
「あいつめ。いま、そんなことになっているのか」
怒ったように言う神父様でしたが、その表情は反して朗らかでした。
69:名無しNIPPER[sage saga]
2018/07/14(土) 18:38:26.19 ID:TXxgAIfuO
それから三日後、私は東京のオフィス街を訪れました。
駅のホームに出ると、怒涛のような人波に圧倒されました。そんな中に、凛と背筋を伸ばして立つ姿はすぐに見つかります。
彼女もまたこちらを見つけ、微笑みました。
70: ◆H4.9pPaHc.[saga]
2018/07/14(土) 18:42:20.17 ID:TXxgAIfuO
終わりです。
色々と初めてのことだったため、拙いところもあり申し訳ありません。
最後まで読んでいただいた方が、もしもいらっしゃるのなら、本当にありがとうございました。至上の感謝を申し上げます。
71:名無しNIPPER[sage]
2018/07/14(土) 18:49:49.14 ID:h0kBZKIDO
乙
女プロデューサーは沢山いるが、クラリスさんを誘う例は初めてやな
72:名無しNIPPER[sage]
2018/07/14(土) 19:38:27.50 ID:IrIVSCkI0
RWBYのボスキャラがそんな名前だったような
まだ読んでないから感想ちょっと待って
73:名無しNIPPER[sage]
2018/07/19(木) 13:33:32.96 ID:7E+0rioC0
乙、良かった…!
タイトルが魔女裁判を髣髴させると思ったら、周り回って灰被り姫に魔法をかける魔女になったかと思うと胸熱
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