16:名無しNIPPER[sage saga]
2018/07/14(土) 17:55:20.39 ID:TXxgAIfuO
不意に、うしろから名を呼ばれて、振り向くと片手にグラスを持ったセイラムが立っていました。色白な肌には少し酒気を帯びて、ほの赤く染みた頬が艶やかでした。
「なにやってるの、こんなところで」と彼女は言いました。
「そちらこそ」
「あたしはちょっと。からだ火照ってきちゃって」
「私も、似たようなものです」
「お酒も飲んでないのに?」
「暖気にあてられたのかもしれませんね」
私の隣に並んで、彼女はふと微笑みます。解放感や高揚感からか、いつもよりたわんだ笑顔でした。
「もう今年も終わりだね」
「そうですね。早いもので」
「そういえば、いくつになったんだった?」
「私は今年で十七に」
「あら、もうそんなに。じゃあ来夏なんだ」
セイラムは古い日を懐かしむような口ぶりで言いました。
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