11:名無しNIPPER[sage saga]
2018/07/14(土) 17:51:13.15 ID:TXxgAIfuO
――あはは! はーい、大事に食べてね。あたしたちが丹精込めて作ったクッキーなんだから!
童話上のサンタクロースさながらに大きな袋から小包を取り出し、セイラムは子供達に配っています。はじめはひとつひとつ手渡していましたが、おそらく面倒になったのでしょう。まるで絵本の描写をなぞるように、途中からの小包は宙を舞って子供達の元へ届けられました。要するに、セイラムは次第に投げ渡すようになっており。
「――まあ、あとで思い切り怒るよ」
その神父様の言い切りは断定でした。とはいえ、これは仕方がないことでしょう。私は心中でのみ彼女の無事を祈り、催しの運営としての役割を全うするため、教会の中へ入りました。
祭壇の横に安置されたオルガンは昨日のうちに調律を終えて、出番をいまかと待っていました。私はその上に開いてあった楽譜に目を滑らせます。
私は聖歌隊とともに、キャロルを披露することになっていました。
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