10:名無しNIPPER[sage saga]
2018/07/14(土) 17:50:27.83 ID:TXxgAIfuO
明けた朝には、早くから近隣に住む子供達が教会の外庭に集まっていました。
私達は規模が規模ですので、そう大きな催しものができるわけではありません。それでも多くの参加者に集まっていただけるのは、ひとえにこの修道会が積んできた篤実さがゆえなのでしょう。
「はーい! プレゼントが欲しい子はこっち集まってね!」
平常とは違ってひとり赤いコスチュームを着込んだセイラムの号令に、子供達が誘われています。準備にはあまり乗り気でなかった割に、彼女が誰より楽しんでいるご様子。隣にいた神父様がため息を吐きました。
「……聖ニコラウス。どうぞお許しを」
「注意はされないのですね」
「ああ。それは」
私が訊ねると、神父様は不本意そうにしながらも頷きました。彼の視線の先には幸せそうな賑やかさがあり、それは私の目にもよく見えています。
「……子供達が喜んでいるしな。それに、こういう時に口を酸っぱくするのは、さすがに無粋が過ぎるだろう?」
73Res/52.75 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20