7: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 15:53:47.67 ID:LgMjPCNT0
……さて、そんな『39プロジェクト』オーディションとの出会いを経たことで、
私は晴れて765プロライブ劇場の一員となった。
何度もの不合格を経験した末に、
ようやく一流アイドルを目指すという目標の第一歩を踏み出した形になる。
とはいえ、所属して暫くの間は候補生という括りに同期のメンバーとまとめられ、
元々は臨海公園が作られる予定だったという、海沿いの広々とした土地に建てられた劇場施設でみっちり基礎を鍛えることに。
そうしてふた月もすれば体の方も慣れ始めて、
心にも幾らかの余裕が生まれた頃、私たちは唐突な話を聞かされることになったのだ。
「君たちは今度の公演で舞台デビューだ」
それは、ある日のレッスン終わりのことだった。
私を含めた五人の候補生を呼び集めたプロデューサーは、
いつもの柔和な笑顔を崩すことなくそう言った。
アイドルデビューとは言われなかった。
私と同じことを疑問に思ったのだろう。
一列に集められた中で最年長だった琴葉さんが、
まるでその場のみんなを代表するように質問するため手をあげる。
「プロデューサー、それは私たちからも候補生の肩書が外れるということでしょうか」
訊かれた彼が頭を掻く。でも、私たちが一番気にする点はそこだ。
だって、デビューの形はどうあろうと、
人前に出るということは活動が本格化することを意味するもの。
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