8: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 15:55:22.49 ID:LgMjPCNT0
だけどプロデューサーは、問いかけるような視線を浴びせる私達一同の顔を見回すと。
「いや、本格的なデビューはもうしばらく先の話になる。
難しく考えることじゃないさ。これはまぁ、レッスンの次のステップだよ」
「つまり、私たちの瀬踏みですか」
「……もう少し気楽に、実習だと思って欲しいなぁ。君たちは大人組や桃子らとは事情も経験も違うんだ。
なるたけじっくり、段階を踏んで仕上げたいってのが俺と事務所の考えでね」
そうして彼は、「それともだよ」と琴葉さんと真っ直ぐ目を合わせ。
「君としては折角集めた原石でも、一山いくらの状態でこのまま売る方が良かったかな?」
言われた彼女が僅かに首をすくめる。
実習という例えを聞いて、誰かが安堵の息を漏らす。
質問に答えてもらった琴葉さんが「わかりました」と頭を下げると、
プロデューサーは機嫌よく頷き手を叩いた。
「とにかく、トップアイドルへの道も一歩からだ。
ステージで必要な度胸と経験をつける為にも、みんなで端役から頑張ろう!」
「おーっ!」と、彼と一緒に拳を突き上げる人がいる。
反対に、待ち受ける不安から体を震わせる気弱な人も確かにいて。
私は自分の隣で青くなっている可憐ちゃんの肩をポンと叩くと、
ドキドキするけど一緒になって頑張ろうね、なんて偉そうに励ましてみたりするのだった。
……本音を言えば自分だって、不安で一杯だった癖に。
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