5: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 15:50:02.87 ID:LgMjPCNT0
【一幕 いきさつ#1】
芸能事務所、765プロダクション所属アイドル候補生高山紗代子。
それが十七の私が持つ肩書き。
高校生という世界の枠からは少しだけはみ出てみた結果。
三年生を迎えてから努力の証に得た勲章。
けれども私は、昔からアイドルになろうと夢見て生きてたワケじゃない。
幾重にも重なるケミカルライトが揺れる波間、
その向こう側にあるステージで歌い踊る人達というものは、
当時、その眩しさに目を細める存在足りえても、
私自身が憧れる対象には決してなり得なかったのだから。
でも、だからこそその場所をゴールに据えてみたと言える。
本気でアイドルを目指そうと思ったのは、それが自分から一番遠い存在だったからだ。
困難な目標を見事にこなしてみせてこそ、私は変われると頑なに信じ、
取り巻く環境も何かしら変化するものだと思い込んだ。
少なくとも、オーディションに挑戦し始めの頃は精神的にも前向きで、
私は自分が以前の状態にまで持ち直したような気だってしてた。
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