20: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/07/04(水) 22:25:39.34 ID:/XOMflwr0
事務所に入ると、ほとんど人が出払っていました。いつもは賑やかなのに、アイドル達のかしましいお喋りも聞こえません。彼のデスクの方を見遣ると、彼の姿もありません。出かけている? そんなことはありません。昨日、彼は「一日中事務所かなぁ」と今日の予定を言っていたのだから。
21: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/07/04(水) 22:26:39.44 ID:/XOMflwr0
「あら、肇ちゃん?」
ちひろさんがデスクから声をかけてきました。
22: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/07/04(水) 22:28:37.35 ID:/XOMflwr0
「今日はオフだっただろ? 肇、何かあったのか?」
23: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/07/04(水) 22:29:13.72 ID:/XOMflwr0
止めどなく湧き出る言葉の中から浮かび出た言葉は、私の気持ちを最も詰め込んだものでした。
24: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/07/04(水) 22:29:46.64 ID:/XOMflwr0
私の言葉にさぞかしビックリしたのでしょう、彼は陶器のように固まってしまいました。ちひろさん、そんな「わお」って茶化すような顔をしないでください。とんでもないことを言ってしまった私だけれど、不思議と落ち着いていました。ここへ向かう時には、恥ずかしくて言えないと思っていたのですが。
陶器から生身に戻った彼は、少し恥ずかしそうに答えました。
25: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/07/04(水) 22:30:47.34 ID:/XOMflwr0
ちひろさんが、ソファでお話したらどうかと、私と彼に提案しました。
「Pさん、お仕事は大丈夫ですか?」
26: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/07/04(水) 22:32:32.86 ID:/XOMflwr0
「ずっと寮で過ごしてたの?」
お茶を啜ってから、彼は私に尋ねました。
27: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/07/04(水) 22:33:24.78 ID:/XOMflwr0
「歩いてきたんだろ。雨は強くなかった?」
28: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/07/04(水) 22:34:07.97 ID:/XOMflwr0
「あ、その髪留め」
彼がその沈黙を破りました。
29: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/07/04(水) 22:34:44.60 ID:/XOMflwr0
「いや、いつもの髪型もかわいいなぁって、いつも見るたびに思ってるけどな」
「ふぇっ」
30: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/07/04(水) 22:37:14.81 ID:/XOMflwr0
「とにかく、肇のどの髪型もかわいくて、俺は好きだよ」
彼はニコニコと笑って言いました。
35Res/17.93 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20