速水奏「よその女」
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7: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/06/22(金) 21:16:57.89 ID:wWXdAL2J0
 両親は話し合う余地もなく、賛成してくれた。いいよの一点張り。プロデューサーもその場にいたんだけど、ぽかんとしてた。
 “両親の激しい反対に遭うも必死の説得により……”、そういうドラマを2人で描いていたから。

「なんだか物足りないわ」

 にこにこ笑う両親の前で、私はプロデューサーさんを指でつついた。

 その代わり、地獄のようなレッスンが私の見通しの甘さを自覚させた。
 運動神経には自信があったんだけど、初日で全身筋肉痛。体育の授業なんてレッスンに比べたら、本当に“子どものおあそび”程度。

 やっとダンスに慣れてきたら、そこに歌。ボーカルレッスンだけでも注意されてるのに。
 ダンスの呼吸がソングの息継ぎとまったく噛み合わなくて、トレーナーさんを困らせてもおもしろくないし、家でめそめそするのも嫌で、1人で泣くのはもったいなくて、プロデューサーさんの前でだけ、こっそり涙を見せた。
 
 そうすれば、彼は傷ついてくれる。私のために。さらに真剣に考えてくれる。私のことを。
 もっと前のめりになって、唇と唇がふれあうくらいに。
 


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