速水奏「よその女」
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6: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/06/22(金) 21:15:45.41 ID:wWXdAL2J0
「君の人生をちょっとだけ、ぼくに預けてみないか」
 
 渡された名刺には美城プロダクションと書かれていて、私は自分がスカウトされていることに気づいた。

 「“ぼく”、本気?」

 小さな男の子をからかうみたいに、私は下唇をつきだした。彼は、行儀が悪くて家の外にだされた子犬みたいな顔になった。
 私はその反応がおもしろくて、言葉をつづけた。

「そうねぇ…じゃあ…今、キスしてくれたらなってもいいよ」
 
 彼はチェリー・キャンディみたいに真っ赤になって、うつむいてしまった。

 私より9、10歳くらい年上の若い男。自分だってまだ若いくせに、“若者”に説教をしはじめるような歳の男。
 そういう男を、17の私が翻弄している。私はそれが無邪気に楽しくて、アイドルになることを受け入れた。 



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