5: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/06/22(金) 21:14:57.52 ID:wWXdAL2J0
そんなふうに、すっかり物憂げな顔をして街を歩くのが趣味になっていたとき、声をかけてくれたのがプロデューサーさんだった。
「君、ちょっといいかな」
本当に“ちょっと”ならかまわないわ。いつものナンパだと思って、返事をしたような気がする。彼はしばらく考え込んで、多分その間に“ちょっと”の時間は過ぎてしまったんだけど、私は彼の言葉を待った。
父親、教師、学校の先輩、同級生、後輩……私の言葉にうなずくだけで、耳を貸そうとはしないひととはちがって、彼は、私の何気ない一言も真剣に受け取って悩んだり、傷ついたりしてくれるひとかもしれない。そう思ったから。
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