5: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/06/15(金) 01:45:36.98 ID:qFXEoNRp0
「こちらが私の家で一番えらい神様です」
村人はかまどを指さした。目をこらすと、灰の中にいくつか、きらりと光るものがあった。
なるほど、そういう信仰もあるのかと旅人はかまどに銅貨をなげこんだ。
6: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/06/15(金) 01:46:28.36 ID:qFXEoNRp0
旅人は無言で椅子に銅貨をのせ、その上にどっかりと腰をかけた。
村人によれば少なくともあと2人の神様がここにおわすらしい。
「いまから食事をつくるのですが、旅人さんを召し上がりますか。
7: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/06/15(金) 01:47:59.26 ID:qFXEoNRp0
「その机は」
村人の言葉を待たずに、旅人は銅貨一枚を机の上に、わざと大きな音を立てて供えた。
「失礼、信仰心が暴走することってありますよね」
8: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/06/15(金) 01:48:43.82 ID:qFXEoNRp0
村人はじっと目を細めた。
「私だって神様の上に寝そべることはできません。この寝台はただの寝台です」
9: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/06/15(金) 01:49:25.42 ID:qFXEoNRp0
翌朝毛布をじゃらじゃら言わせながら目をさますと、村人はかまどで鍋の様子を見ていた。。
旅人はその様子を注意深く見守った。
お供えは1日に一度、と言い出されたらどうしよう。
10: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/06/15(金) 01:50:06.93 ID:qFXEoNRp0
「食事のご用意ができていますので、どうぞこちらに」
村人がそう言っても、旅人は動かなかった。
11: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/06/15(金) 01:50:39.25 ID:qFXEoNRp0
「失礼、スプーンをいただけますかな」
旅人は、優雅な口調で言った。
「かまいませんよ」
12: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/06/15(金) 01:51:08.30 ID:qFXEoNRp0
おわり
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