九頭竜八一「強くなる秘訣が知りたいですか?」空銀子「知りたい」
1- 20
1:名無しNIPPER
2018/06/12(火) 20:54:19.50 ID:DuefMiIs0
銀子「くっ……!」

空銀子は苦しんでいた。
ついに幕を開けた三段リーグ。
銀子は新三段として戦いの日々を送っていた。

戦績は、散々だった。
記録上はいくつか白星がついている。
しかし、それは全て相手の悪手によるもの。
勝ちは勝ちであるが、後味は悪い。
久しく快勝というものを味わっていなかった。

痛感したのは自分の将棋が通用しないこと。
何をやっても対応され、当たり前に返される。
野球で例えるならば、自分が持ち得る全ての球種を打たれるようなものだ。手も足も出ない。

それは単純に研究の量によるものではない。
銀子とて寝る間を惜しみ研究に勤しんでいる。
最新形から古典まで幅広く知識を掻き集めた。
だが、通用しない。それは何故か?

答えは簡単だ。
銀子は地球人で、他は将棋星人だから。
生まれる星が違う彼らの感覚は、違っている。
将棋星人は、読まなくても駒の動きが見える。
連携などもまるで幾何学模様のように見える。
しかし、銀子には見えない。だから、弱い。

対局後の感想戦で、それは浮き彫りとなる。
相手に指摘された変化がピンと来ないのだ。
まるで、違う言語で話されたような感覚。
返答に困っていると、首を傾げられる。
銀子がわからないことを相手はわかってない。
わかって当然であると、誰もが思っている。

その度に、ふざけるなと怒鳴りたくなる。
ここは地球なのだから、地球の言葉で話せと。
いや、そうではない。自身が不甲斐ないのだ。
同じ言葉、同じ感覚を持たぬ自分自身の弱さ。
それが腹立たしく、苛立たしく、情けない。

銀子「ちっ……!」

劣等感を叩きつけるように、銀子は駒を打つ。
しかし、ノータイムで指し返された。
また、自分が読んでいない手。
無論、相手はそれを読まずに導き出せる。

その差は歴然とした実力差となり、襲いかかる。

SSWiki : ss.vip2ch.com



2:名無しNIPPER[sage]
2018/06/12(火) 20:57:21.78 ID:DuefMiIs0
どれだけ時間が経っただろう。
傍らのチェスクロックを見やると、持ち時間はほとんどない。相手はたっぷり残している。
とはいえ、既に時間など意味はなかった。

銀子の囲いは、見るも無残に朽ち果て。
以下略 AAS



3:名無しNIPPER[sage]
2018/06/12(火) 21:00:41.86 ID:DuefMiIs0
ドンッ!と、つま先でドアを蹴る。

八一「姉弟子、お疲れ様でした!」

対局を終えた銀子は、帰り道に関西将棋会館のすぐ近くにある弟弟子の自宅に立ち寄った。
以下略 AAS



4:名無しNIPPER[sage]
2018/06/12(火) 21:07:24.43 ID:DuefMiIs0
改めて弟弟子の顔をマジマジと見る。
自分よりも2つ年上の男の子。
容姿は普通。良くも悪くもない。
銀子の質問に悩む彼は、すこし間抜けだ。
先程対局室へ訪れた際に発していた強者特有のオーラは微塵も感じられない。ほっとする。
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[sage]
2018/06/12(火) 21:11:52.43 ID:DuefMiIs0
八一「うーん……強くなる方法かぁ」

顎に手をやって、うんうん悩む弟弟子。
なんだか微笑ましくて、顔がほころぶ。
こんなところは幼少時から変わっていない。
以下略 AAS



26Res/24.27 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice