46: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/06/15(金) 20:18:36.21 ID:bVnO2WFP0
「どうしたんです? 時間も余りありませんし……」
歩き出さないでいた私のことを、怪訝そうに覗き込む彼。
「いいえ、ちょっと考え事を」要らない心配をかけないよう、そう、笑って応えたなら。
「思えば、スケートだなんて学生の頃に滑ったきりで」
「一昔前はブームでしたものね。俺も、よく滑りに来たんですよ」
「そうなんです?」
「ええ。男ばっかりでむさ苦しく……。いやぁ、あの頃は馬鹿してたな」
恥ずかしそうに頭を掻く彼の横顔を眺めながら、私はふと、もしかすれば、
同じリンクの上ですれ違ったこともあったのかもしれないなんて思いを馳せる。
……今さら確かめることなんて出来ませんけれど、夢を見るのに遠慮は要りませんものね。
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