44: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/05/12(土) 02:29:28.31 ID:aw+Q2owr0
「そちらへ、でございますか?」
「だって、ここは悲しいことばかりよ。泣きたいことだらけじゃない。
好きなように生きられないから、あなたはここまで来たのでしょう?」
45: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/05/12(土) 02:30:24.68 ID:aw+Q2owr0
「だって、そこはきっと、遠すぎるですから。わたくしは……あぁ。
日本の言葉が、まだ上手くないですね。ごめんなさいです――」
46: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/05/12(土) 02:31:42.66 ID:aw+Q2owr0
座敷にそぐわぬ異国の言葉を、彼女はいかなる胸中で聞いておられましたでしょうか。
意味は通じずとも、きっと意図は伝わりましたでしょう。
手をそっと下ろして、一人だけで立ち上がるのでした。
47: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/05/12(土) 02:32:15.30 ID:aw+Q2owr0
ああ、消える。
くっきりと見えたその姿が、今や蜃気楼のように揺らぐのです。
48: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/05/12(土) 02:33:21.19 ID:aw+Q2owr0
「歌?」
「はいでございます。お姉さんは、歌がお好きでございますから」
49: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/05/12(土) 02:34:44.21 ID:aw+Q2owr0
ゆうやけこやけでひがくれて
50: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/05/12(土) 02:35:20.44 ID:aw+Q2owr0
いつの間にか、四畳半には一人だけ。
拙くも歌い上げた頃には、彼女の姿はどこにもありませんでした。
51: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/05/12(土) 02:41:15.28 ID:aw+Q2owr0
―― 数日後
美穂「出るアパート?」
52: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/05/12(土) 02:42:03.02 ID:aw+Q2owr0
美穂「だ、だ、だ、大丈夫だよね? 芳乃ちゃんと小梅ちゃんがいたらなんとかなるよね?」ビクビク
小梅「ふぇへへ……美穂ちゃん、こわがり……たぬきなのに……」
53: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/05/12(土) 02:46:53.55 ID:aw+Q2owr0
ライラ「はいでございますー」ガチャ
美穂「ひぃい!? き、金髪の…………あれ?」
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