50: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/05/12(土) 02:35:20.44 ID:aw+Q2owr0
いつの間にか、四畳半には一人だけ。
拙くも歌い上げた頃には、彼女の姿はどこにもありませんでした。
「……いってしまわれたのですねー」
後にはもうごく普通の座敷があるばかりでございます。
残るのは食べ終えたアイスの棒と、最後まで手付かずだったもう一本のアイス。
袋を開くとアイスは表面が融け始めていて、液体の流れを形作りながらも、悲しく綺麗な夕陽を照り返します。
それはきらきらと輝いていて、故郷で見たどんな宝石よりも色鮮やかに見えたのです。
夕映えを含むように、しゃく、と一口齧りました。
やっぱりソーダ味で、だけどほんのちょっとだけ、しおっからいのでございました。
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