遊び人♀「おい勇者、どこ触ってんだ///」
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92: ◆CItYBDS.l2[saga]
2018/08/28(火) 23:01:36.60 ID:3l3UqrgJ0

――――――


「ねえー、勇者ぁー。起きてよー」


ああ、なんと心地の良い声だろう。その声は、俺の頭の中で二重三重と響き渡り、折り重なって、まるでサンドイッチだ?
いや層の重なり具合から鑑みるに、ミルフィーユ、もしくはバームクーヘンかもしれない。


「ねえ、勇者ってばー。おきてってー」


おはよう、マイハニー。もう朝なのだろうか。
しかし予想に反して、部屋は暗い。微かに揺れる蝋燭のみによって部屋は照らされている。


「朝か?いや、部屋は暗いしそれはないか……」


「ワインぐらに陽が指すわけないでしょー。それにまだ、日がのぼるには早い時間よー」


ふむ、どうやら、俺はワインを飲みすぎて寝てしまっていたらしい。どうにか、頭を捻るが記憶があやふやとなってしまっている。
思い出せない。俺には、何か大事な使命があったはずだ。遍く世界へ、伝えなければならないことがあったはずだが、寝起きのためか頭が回らない。

水を一杯飲もう。少しは目も覚めるだろう。
ワイングラスへと手を伸ばす。すると、グラスからは鼻を刺すキツイ匂いが漂ってきた。どうやら、グラスにはまだワインが残っていたらしい。
そういえば、ワインの楽しみ方の一つに『匂いの形容』があると遊び人は言っていたな。ならばこれも一興。このワインの匂いを、俺なりの言葉で表してみようじゃないか。


「このワインは、犬のゲロみたいな匂いがする」


「犬のゲロも何も、そのグラスに入ってるのは君のゲロだからねえー」


……忘れよう。この記憶こそ、アルコールの力を借りて今夜という過ぎ去る時の中に置いていこうではないか。
頭を起こし、遊び人に目を向ける。酔いつぶれた俺に比べて、彼女の様子は普段と変わらないようにも見える。いや、少しだけ口元の角度があがっているかもしれない。
それに、少し呂律も回っていない。彼女も、だいぶ酔っているようだ。


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