91: ◆CItYBDS.l2[saga]
2018/08/28(火) 23:01:09.52 ID:3l3UqrgJ0
ふう、見たか諸君。これがネゴシエーション、勇者の交渉術というものだ。
女性の乳に触れ、パンツを拝むという最大のリターンを、酒を驕るという僅かなコストだけで成し得てみせたぞ。
なんだ、女と言うものは意外にチョロいもんだな。勇者の職を辞したら、第二の人生をナンパ師として送るのもいいかもしれない。
「それじゃあ、ワインを仕入れて部屋に戻ろうか」
「いえ、行くのは教会のワイン蔵よ」
え?
「水差しが空になるたびにワインを貰いに行く気?面倒だから、ワイン蔵の中で飲もうって言ってるの」
「じゃあ、水差しを二人で二つずつ貰っていけばいいんじゃないかな。それだけあれば足りるだろう?」
「あら、それなら一人二つずつワイン樽を運んだ方が早いわよ」
彼女は、眩しいばかりの笑顔を俺に向けている……どうやら、俺は見誤っていたようだ。
社会はうまくできている。いくら小賢しいネゴシエーション術を使おうとも最大のリターンには、最大のコストを支払わなくてはならないというわけだ。
俺は、これからも続く長い人生の中でも類を見ない大散財をこれから経験するであろうことに、ただ怯えることしかできなかった。
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