87: ◆CItYBDS.l2[saga]
2018/08/28(火) 22:59:14.44 ID:3l3UqrgJ0
遊び人の魔法が、ゴーレムの右腕を完全に凍らせる。
ゴーレムは気にする様子もなく、その右腕を遊び人のいる方向へと振るう。
「うわぁ、あぶないなぁ!」
やはり、どこか緊張感の抜けた声だ。
遊び人は、難なく攻撃をかわしゴーレムから距離をとる。
ゴーレムの攻撃は、地面に大きな穴を開けていた。流石に、あれを直に食らったら俺でもまずいな。
「遊び人!ゴーレムの倒し方は知っているか?」
「馬鹿にしないでよ!真理を死へ!」
そう、斬っても斬れず、粉々に砕いても土さえあれば再生してしまう泥人形ゴーレムは、一見無敵にも見えるが唯一つだけ弱点がある。
それは、額に書かれた「emeth(真理)」の文字から「e」を削り取ることで「meth(死)」へと書き換えてやるというものだ。
ただそれだけのことで、ゴーレムは動きを止め土くれに還る。
なんともまあ、先に弱点から考えられたのではないかというほど出来過ぎた弱点ではあるが。
その実際は、それを安全性の担保とすることでしかゴーレムの運用が困難である、ということなのだろう。
だが、今回の場合は……
「あったよ勇者!やっぱり、額の上に『真理』がある!」
今回の相手は、小屋の倍ほどの高さがある、巨大ゴーレムだ。
どう考えても、剣は『真理』に届かないんだよなあ……。あ、なんか名言っぽい。
「私に、任せて!」
遊び人が、相変わらず何処から出したかわからないナイフをゴーレムの額めがけて投擲した。
しかし、それは『真理』に辿り着く前にゴーレムの左腕で弾かれてしまった。
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