遊び人♀「おい勇者、どこ触ってんだ///」
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76: ◆CItYBDS.l2[saga]
2018/08/13(月) 23:30:41.39 ID:mSb4wVOg0


「名前じゃなくて中身を見てほしいものだわ!中身を!」


俺には、彼女が単に酒の話をしているようには聞こえなかった。それほどに、彼女の言葉から強い語気が感じられた。

彼女は、俺に名を教えてくれなかったという事実が更にその考えを後押しした。

「名前ではなく中身を見てほしい」この言葉は、彼女自身のことを言っているのではないだろうか。

少なくとも、俺にはそう聞こえた。


彼女がどういう境遇で、そういう考えに至ったかはわからない。

だが、俺も「勇者」という名ではなく「俺」という中身を見てほしいという願望を強く持っている者だからこそ、彼女の気持ちに寄り添うことができた。

まあ、考え過ぎの勘違いかもしれないが。


何にしても、彼女から無理に本名を聞きだすのはよしておこう。

普段の俺なら、本名を確認しないなど有り得ない。だがまあ、千鳥足テレポートと魔物から魔王軍の情報を引き出したという功績を鑑みて、それぐらい許容してもいいではないか。



「うんうん、そうだな。俺も、君の中身のほうを楽しみたいものだ」


ん……?なんか、彼女の気持ちに寄り添おうとしたあまり、変なことを言った気がするが……いや、気のせいだろう。

どことなく、部屋の中が静まり返った気がした。いや、見張りを行っているという状況もあって俺も遊び人も元々、声を潜めていたのだから当たり前か。

だが、ほんの少しだけ。ほんの少しだけ、部屋に静けさが降りてきているような。


俺は、その静けさに耐え切れず。再び声を開く。


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