69: ◆CItYBDS.l2[saga]
2018/08/13(月) 23:27:14.20 ID:mSb4wVOg0
ワインの流通は、現在は教会のみに認められている。儀式で使う分だけ購入できるということだから、それも当然だ。
即ち、そこに魔王軍が介入する術はないと俺は見ている。あばら家を見張るうえで、教会を選んだのはただ単に立地が良かったわけではないのだ。
まあそのおかげで、遊び人がこの部屋を離れることなくワインを飲めるわけなのだが。
「だからと言って、全ての教会にワインがあるわけではないと思うんだが」
「ふふん。私は、この教会に入った瞬間に匂いでわかったよ」
遊び人の手には、既に陶器製の水差しが握られている。彼女の行動は実にすばやい。
ドタバタと階下に降りて行ったかと思えば、あっという間に獲物を抱えて戻ってきたのだ。
陶器の中身は、調べるまでも無い。樽から移されたばかりのワインに決まっている。
「匂いか、うーん……、わからんなあ」
「あおーん!」
どうやら鼻が利くことのアピールらしい。どこか子供っぽいおどけ方に、実はもう酔っているのではないかと疑ってしまう。
296Res/317.15 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20