68: ◆CItYBDS.l2[saga]
2018/08/13(月) 23:26:47.95 ID:mSb4wVOg0
本来であれば、禁酒法は個人的な道徳の問題であると国も取り合わなかったであろう。しかし、酒市場の独占を狙う一派の画策があわさり自体は混迷を極めていく。
ワインは、ブドウの果汁を発酵されることで作ることができるが、その工法は同じ醸造酒であるビールに比べて酷く時間がかかり、更に穀物として各地で大量に生産される麦に比べてワインの原料となるブドウの収穫量は少ない。
故に、ビールに比べて価格も高く上流層に好まれる酒であった。畑仕事を終え、人々が口にするのは圧倒的にビールの方が多かったのだ。
工業革命による、大量生産はビールの価格低下に拍車をかけた。更には、アルコール度数の高い蒸留酒の台頭である。酒市場におけるワインの量は年々減っていき。ワイン醸造において利権を貪っていた一部教会一派は窮地に立たされる。
その打開の一手こそ、禁酒法制定であった。市場における優位性を確保するべく、蒸留酒、ビール業界を貶めようと画策したのだ。
だが、蒸留酒業界とビール業界が黙って指をくわえていたかというと全くそうではない。彼らは、業界内対立をそっくりそのまま禁酒法案制定に持ち込んだのだ。
自身の業界により有利な禁酒法を制定すべく、彼らは競い合った。もし蒸留酒業界とビール業界が手を組み組織的に禁酒法に反対を唱えていれば、禁酒法が制定されることはなかったであろう。
結果として、他業界は地下に潜ることとなり現在に至る。
ただし、教会においても宗教的儀式で必要な分のみ醸造が容認されたため大々的に醸造を行うことはできなくなってしまい、自分で自身の首を絞めた形になる。
とはいえ、明らかな逃げ道をつくることができたためワインは密に作られ続けている。
なぜ、つい先日まで酒を口にしたことが無かった俺が教会とワインの関係についてこれだけ詳しいか疑問に思うかもしれない。
しかし、魔王軍が密造酒を運搬するランナーとして活動している以上、どうしても必要な情報だったのだ。
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