遊び人♀「おい勇者、どこ触ってんだ///」
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58: ◆CItYBDS.l2[saga]
2018/07/19(木) 07:36:21.63 ID:/DWZcchK0


「だーかーらー、この魔法は酔っ払いが二件目を探すための魔法だって言っているのよ。その人の嗜好を読み取り、お好みの店へたどり着けるかもしれない」

「本来は、そういう遊び人御用達の魔法なの。だから千鳥足テレポートが成功して飛べる先は、必ずある程度のお酒が置いてある場所でなければならないの」


なんで、そんな魔法が存在しているんだよ……。というか、誰がこんな魔法を作ったんだ。
―――いや、『遊び人御用達の魔法』なんて阿呆な魔法を作るのは、それこそ遊び人しかいないではないか。


「ということは、帰れないと店の迷惑になるってのは―――」


「そう、例え話でもなんでもなくて。実際に、店に迷惑がかかるといけないからってとられた措置。この魔法を作った、とあるバーのマスターの心遣いってわけよ」


それは心遣いというより、千鳥足テレポートで自分の店に飛んできた酔いどれを追い返すための措置なのではないだろうか……。
しかし、なるほど。俺は、この魔法を魔王の元に辿り着くためのものと捉えていたが実のところそうではない。新生魔王軍あるところにアルコールあり。その点に、目を付けた遊び人が魔王を追う術として身に着けたのだろう。……もしくは、純粋に遊び目的で身に着けていたのか。
いや、彼女は元騎士団員。職務に忠実だったからこそ、職を辞し遊び人になってまでこの魔法を習得したに違いない。

背後から、ごそごそと音がする。どうやら、遊び人がベッドから這い出てきたようだ。交代の時間ではないはずだが。
彼女の気配は、俺のすぐ後ろまで来ている。どうやら俺の頭越しに、外を眺めているようだ。


「この間の一件から推測したんだけど。千鳥足テレポートは、おそらく二人でやると成功率があがるんじゃないかと思うの」


彼女の声が、俺の耳をくすぐる。常に、あばら家に目を向けていて彼女の正確な位置はわからないが、予想以上に俺の近くにいるようだ。
その事実に、心臓がドクンっドクンっと脈打ちだす。落ち着け心臓。そんなに荒ぶっては、彼女に感づかれるぞ。……何を?何かをだ!


「この間のは、俺にとってはビギナーズラックだったということか」


「そうそう。これまでの経験上、一発で屋内に飛べたことは無かったわ。ゴミ捨て場の上空に飛んだり、どぶの中にひっくり返ったり、散々な目にあってきたんだから」

「まあ、検証したわけではないんから。あくまで仮説だけどね」


「……それで、俺と組む気になったというわけか」


なんだな。ちょっと複雑な気持ちだ。


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