44: ◆CItYBDS.l2[saga]
2018/06/17(日) 18:23:40.99 ID:3k6rJQ/z0
「よし、これからよろしくね勇者」
彼女が、右手を伸ばしてきた。俺は、その手を握る。
「あ……ああ、よろしく頼む」
俺の手は、微かに震えていた。
戦闘の興奮が冷めたせいか、隠れていた俺の羞恥心がひょっこり顔を出しはじめていた。
よく考えると、今日は初めてだらけだ。
初めて逆ナンされ。初めて酒を飲み。初めての共闘。初めての女の手を握った。
まあ、逆ナンは俺の勘違いだが……。
「というか、酒場に金払ってないよな。俺達、戻ったら食い逃げ犯になってるんじゃないか」
「大丈夫、あそこには顔がきくんだ。つけててくれてるよ」
「ビールジョッキも返しに行かないとな……」
「お、良いもの持ってるじゃん。それ貸して」
彼女は、そう言って俺からビールジョッキを受け取ると、近くの木箱からビール瓶を取り出しそれに注ぎだした。
そうして、満杯になったジョッキを俺に差し出してきた。顔は少しにやついている。何か企んでいる、そういう表情だ。
「ほら、喉が渇いたろ。これでも飲みなよ」
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