遊び人♀「おい勇者、どこ触ってんだ///」
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41: ◆CItYBDS.l2[saga]
2018/06/17(日) 18:22:17.75 ID:3k6rJQ/z0


「次、左奥の奴が、飛び掛かって来るよ!右の奴は、後でいい!」


俺に、背を向けているはずの彼女が的確に敵の動きを教えてくれるのだ。まるで、背中に目が付いているかのように。
そして、彼女の指示に従うと、面白い様に敵を捌くことができる。これが孤独な勇者と、組織で戦う騎士団の違いなのか。
もしかすると、彼女は騎士団においてもそれなりの地位にあるものだったのかもしれない。


「そっち、数は減ったでしょ!こっちと交代して!ナイフじゃ倒しきれない!」


彼女の声に合わせて、正面の敵を無視して振り返る。その隙を、敵が逃すはずもないが耐性の力で致命傷にはならないだろう。
だが、俺の隙を埋めるかのように遊び人がナイフを投擲する。俺は、背後からの攻撃を気にすることなく正面の敵を切り伏せる。
膝から崩れ落ちた魔物は、まだ息がある。普段の俺なら、確実にトドメを刺すがそうはしない。
「殺すな」という彼女の言葉もある。だが何より、今日の俺には魔物を殺さないでいる余裕があるのだ。

切り付けられ、殴られ、焼かれ。どんな痛みにも耐えながら、戦い抜いてきた今までとは違い。
今日の俺は、酒に酔って本来の力が出せていないにもかかわらず普段の何倍も素早く的確に魔物を倒しきれている。
間違いなく、仲間、遊び人の助けによるものだ。初めての仲間との共闘に、俺の心臓は高鳴り血が上り興奮冷めやらぬ状態だ。


「すごい、すごいぞ遊びんん!まるで、腕が4本、足も4本、目も4つ!体が二つあるようだ!」


「馬鹿じゃないの!実際に二つあるんだよ!」


戦いの決着まで、それほど時間はかからなかった。
周囲には動けなくなった魔物達がウンウンと唸っている。
一体だけ、明らかに体の大きい奴に詰め寄る。右目にナイフが刺さっている。俺と力比べをした奴だ。
他の魔物と違い、腰巻が少し豪華だ。間違いない、こいつがここの親玉だろう。


「魔王は何処にいる?」


「知らん……」


右目のナイフを抜き、足に突き刺す。
ミノタウロスの叫び声が、倉庫に轟く。


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