38:ですので、途中でも感想頂けると幸いです ◆CItYBDS.l2[saga]
2018/06/17(日) 18:20:55.77 ID:3k6rJQ/z0
期待を煽られ、裏切られた。その事実が、俺から理性を奪っていく。
確かに、『やもしれぬ』と言ったけども!それにしたって、酷い落差じゃないか!こんなの詐欺だ!
俺は、怒りに任せ近くの木箱を蹴飛ばした。木箱は転がり、大きな音が、倉庫中に広がっていく。
「まあ、落ち着きなよ勇者。まだ外れと決まったわけじゃないさ。ほら、ちょうどいいから木箱の中身を改めてみなよ」
「くそっ、酔っ払いの戯言に付き合うんじゃなかった……ん、これは……」
悪態をつきながら、俺は木箱の中をさらう。中から現れたのは、大量のおが屑と液体の詰められた瓶。おが屑は、梱包用だろう。
問題は、瓶の中身だ。遊び人が手を伸ばしてきたので、俺は瓶を彼女に渡す。
彼女は、何処に隠し持っていたのかナイフを取り出し栓を抜き匂いを嗅いだ。
「ビールだ」
「ここは、密輸業者の倉庫か」
「誰が、居るのが!?」
酷く低くしわがれた声が、倉庫に響く。言葉を発するに適していない声帯、そしてその音圧、声の主が人間では無いことは明らかだった。
迂闊だった。違和感の正体はこれだ、何故倉庫の照明はつけられていた。それは、誰かが作業を行っているから。
人の気配がしなかったのは、奴らが人ではないから。窓もなく閉ざされた倉庫で、木箱に詰められた密造酒。
魔王の一味が、ラムランナーとして活動しているという噂。
間違いない、ここは魔王一味の拠点。もしくはそれに類する何かだ。
「大当たりじゃないか……」
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