32: ◆CItYBDS.l2[saga]
2018/06/08(金) 22:55:43.30 ID:/Kiw1pMk0
こいつ、なんだかんだ俺を誘っているんじゃないか。いやまて、それこそ判断をするには早すぎる。
万が一、俺の勘違いだった時のことを考えてみろ恥ずかしさのあまり隠された真の力を開放しかねないぞ。
いや、そんなものないけど。少なくとも今現在、彼女の言葉に俺の顔は間違いなく真っ赤に染まっているだろう。
「あらら、そっちも初心だったか。ごめんごめん」
「ば、馬鹿にするなよ、俺は勇者だぞ。恐れる者なんて何もない」
「まあ、なんにしても初めてってのはいいことだよ勇者様。何事も、一番最初が一番楽しいもんさ」
「初めての酒は、そんなに旨くなかったがな!」
「ふむ、そんなこと言われたら。私のプロデュースが悪いみたいじゃないか」
「そうは言っていないけど」
「ふむ……それじゃあ罪滅ぼしをさせていただきましょうかね」
先ほどまで、無防備に振舞われていた天真爛漫を一切消し去り。彼女は丁寧で重苦しく言葉を紡ぎ出した。
罪滅ぼし。一体、何を何で返してくれると言うのだ。
「魔王の元に辿り着ける、やもしれぬ魔法を教えて差し上げると言ったらどうかな?」
「なんだと!?」
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