265: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/06/05(水) 22:39:41.28 ID:1oYqpqim0
「おい、やめおー」
「ははっ、変なしゃべり方」
彼女の眉が少しだけ吊り上がる。まずい、やりすぎたか。俺は、慌てて頬をいじくるのをやめた。
「私の体は?」
彼女の問いかけに、俺は答える代わりに彼女の頭を持ち上げ、部屋の片隅で倒れている彼女の体を見せてやる。
「ばか! 私の頭で、遊んでる場合じゃないぞ! 早く、体が起きる前に縛り上げて!」
どうやら、頭が目覚めると体も動き出すらしい。俺は、部屋の隅にあったロープを持ち出し彼女の体を縛りにかかる。
「ほら、そっちのわっかに紐をを通して。そうそう、そのまま裏面に回して」
やたらと、彼女が縛り方に口出ししてくるが、まあ別に逆らう必要もない。俺は、彼女の言うがままに従った。
俺は、そのあまりの尊さに感動していた。彼女の指示通りに縛り上げられた彼女の体は、後ろ手に縛ることで身体の動きを制限すると同時に、胸をあえて強調するように縄が張り巡らされている。これは、実用性と芸術性(ある意味で実用性)を兼ねそろえた一個の芸術作品と呼ぶに値するものであった。
「こ、これは……」
赤面する俺に、彼女はしてやったりの表情をみせている。
「どうだ! 恥ずかしいか勇者! 人の頬を好き勝手いじくったお返しだ!」
「いや……これ、縛られてるのキミの体だからね?」
遊び人は、その事実に今更気づいたようで。見る見るうちに下から上へと真っ赤に茹で上がっていった。……どうやら、久々の再開で精神が恐慌状態へと陥っているのは彼女も同じらしい。
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