遊び人♀「おい勇者、どこ触ってんだ///」
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259: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/06/02(日) 20:05:31.52 ID:NZ43uSLl0
 息を切らして全力で駆けていると、部屋の一角に薄暗くもランプの灯に照らされたカウンターが見えてくる。カウンターには椅子が並べられ、奥の棚には酒瓶が並べられていた。大部屋の中に突然現れたその区画は、まるであの店。カクテルバー《ゾクジン》にそっくりだ。


「あそこにある酒で、私を酔い潰して! それで体は止まるはず!」


「足りるのか!?」


 俺の財産のほとんどをワインと化し、その全てを胃袋に収めた彼女の姿が脳裏に蘇る。


「わからないけど、他に手はない!」


 背後からの気配に振り向くと、彼女の体は既にその大鎌を振りかぶっていた。だが、振るわれた鎌には、大雑把でキレもなかった。どうやら、頭を失ったせいで、間合いを見誤っているらしい。幾分か躱すのは楽であるものの、一撃で俺を殺しうる破壊力をもっていることには変わりない。

 俺は、カウンターを乗り越え無造作に酒瓶を手に取る。だが、右腕で彼女の頭を抱いている状態ではとても栓を開けられそうになかった。かといって、頭をカウンターに置きでもして彼女の体に取り返されることを考えると手放すわけにもいかない。

 カウンター越しに再び大鎌が振るわれる。上体をそらし大鎌を躱す。大鎌の軌道を見ていると、ふとアイディアが思い浮かんだ。俺は試しに、俺の首があった位置へと酒瓶を持ち上げてみる。案の定、奴が狙っているのは俺の首だったらしい、大鎌は俺の首の代わりに酒瓶の首を斬りおとして見せた。


「ほらよ。まず一本目だ!」


 彼女の小さい口に、無理やり酒瓶を押し込む。なんだか、あらゆる方面から怒られそうな扱いであるが緊急事態だ今は目をつむってくれ。彼女はもがもがと言いながら、のどを鳴らしている。


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