243: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/05/25(土) 17:33:44.60 ID:qW+Kebhi0
俺は、呆けている炎魔将軍に張り手を一発かまし「連れていけ」と促す。炎魔将軍は、機嫌悪そうに頬をさすり歩き出し、俺はそのあとを黙ってついていく。
中二階を降り、大樽の間を進んでいくと地下に続く階段が姿を現した。周りには樽が敷き詰められており、近づかなければ全く気づきようがない。つまるところ、秘密基地の更なる秘密通路という奴だ。魔王城の玉座の後ろにある階段みたいなものだ。
地下へ降り、少しだけ通路を進むと開けた場所に出た。四方には蝋燭が立ててあり、中央には不気味な魔法陣が描かれている。まるで悪しき儀式でも始まりそうな雰囲気だ。
「ゲートを起動する。お前は、魔法陣の中央に立て」
俺は、警戒しながら魔法陣の中央に立つ。横目に魔法陣を読み取るが、どうやらテレポートゲートであることに間違いはないらしい。
「いまさら罠などしかけん」
部屋の隅の蝋燭が、その灯を強めていく。魔法陣もそれに応じて、幽かに光を放ちだした。
「最後に、一つだけ教えてくれ。何故、俺を彼女に会わせてくれるんだ?」
「そうすれば、お前に魔王様を殺す理由がなくなると思ったからだ……それに」
「それに……?」
「いや何でもない」
俺はおもむろに、懐から髪束を出す。この秘密酒造を襲撃するにあたって、司教から渡された地図だ。
296Res/317.15 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20