遊び人♀「おい勇者、どこ触ってんだ///」
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226: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/05/22(水) 21:55:04.44 ID:n2QIU6Th0


「さっき言った麦の中の糖分を取り出しているんだ、当然麦芽ジュースは甘い」


 大釜の横を、木箱を抱えて大男たちが通っていく。木箱の中には、緑色をした植物の芽のようなものが詰まっていた。 


「麦芽ジュースができたら、隣の釜に移してホップを加えます」


 なるほど、大男たちが運ぶ木箱の中身。あれがホップなのか。


「このご時世で、よくホップを入手できますね」


 マスターが感心そうに木箱に視線を送っている。


「まあ主に生薬として栽培されている物です。見てみますか?」


 炎魔将軍が片手をあげ、一階の大男たちに「おおぃ」と声をかけ身振りでそれを寄越せと伝えた。大男の一人が木箱の中からホップをつかみ、放り上げたものを、炎魔将軍は造作もなくキャッチする。マスターは、その様にパチパチと拍手を送っている。


「お前も見てみろ勇者。これがホップ、ビールの要の一つだ」


 炎魔将軍の掌の上に乗せられたホップをマスターと一緒に覗き込む。ホップは、淡い緑色の葉が折り重なるようにその形を作っていて、まるで花のつぼみみたいだった。

 その一つを手に取って、まじまじと眺めていると炎魔将軍が「食ってみろ」と促してきた。まあ、何事も挑戦と口に放り込んでみる。

 そのあまりの強烈さに、目から涙が零れ落ちた。口内に広がる青臭さが、ひたすらに嗚咽を誘う。慌てて口の外に吐き出しても、その強烈な香りと苦みは残ったままだ。俺が後悔の念を胸に、炎魔将軍をにらみつけると奴はケラケラと笑っていた。その隣では、マスターも笑いをこらえるように肩を揺らしている。


「くそ、いつかこの借りは返すからな」


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