220: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/05/16(木) 21:50:53.35 ID:ao9AIwU40
「……と、なると今日ココに来たのは正解だったかもしれません」
なんか、話を逸らされた気がする。
「どうでしょう。私と手を組みませんか?」
「手を組む?」
「もしかすると魔王のところに連れていってさしあげられるかもしれません」
「乗った」
俺は、二つ返事で引き受けた。俺の、そもそもの旅の目的は魔王を見つけ出すことであるし、千鳥足テレポートを使って遊び人を探すにしても、耐性の力を失うには魔王を倒すしかない。今の俺にとって、魔王は二重に重要な存在となっているのだ。
「で、俺はマスターに何を返せばいいんだ?」
マスターのことだから、憎き人間を殺せとか、貴族たちから金を巻き上げてこいといった、反社会的なことではないだろうが、魔王のところに連れて行ってもらえる代償ともなればそれ相応のものとなるだろう。命以外の物なら、なんだって差し出してやると、俺は人知れず覚悟を決めた。
「まあ、事と次第によっては邪魔な魔物達と戦っていただくかもしれません。しかし、とりあえずのところは私に同行してもらえればそれで十分です」
「この腕と足で?」
俺は、マスターの目の前で手枷と足かせを揺らして見せる。マスターは、クスリと笑った後にゴニョゴニョと魔法を唱え、枷の鍵を解いてくれた。俺は、立ち上がり大きく伸びをする。どれくらいの時間、拘束されていたのかはわからないが肩や腰がガチガチに固まっていた。
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