221:今日はここまでです ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/05/16(木) 21:51:20.68 ID:ao9AIwU40
ふと窓の外をみると、手持無沙汰に事務所の周りをぶらぶらとしていた炎魔将軍と目が合ってしまった。炎魔将軍は、押っ取り刀で部屋に入ってきた。
「せせせせ先代っ! 無事ですか!?」
「やぁ、これはすみません。私が、枷を解いてあげたんですよ」
「はい?」と疑問符を頭に浮かべている炎魔将軍に、俺はマスターの後ろからあかんべーを見舞ってやる。炎魔将軍は歯をむき出しに、何事かを言おうとするがマスターに遮られ「ぐぬぬ」と悔しそうな顔を見せた。ざまあみろ。
「いえね、彼にも見せてあげようと思いまして」
「こいつにですか……?」
炎魔将軍は、露骨に嫌そうな顔をしている。俺は一体、何を見せられるんだろう?
そんな俺の心を読み取ったかのように、マスターが続けた。
「おや、貴方が大立ち回りを演じた舞台がどこなのかご存じないのですか?」
「いや確かに、ラムランナーの倉庫にしては妙な造りだとは思っていたが……」
「ここは、魔王軍の酒造りの最前線。ビール工場なんですよ」
「魔物たちが? 酒造りだと……?」
「どうです勇者様、魔物の手による初めてのビールです。一緒に見学して、ついでに味見といきませんか?」
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