211: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/05/14(火) 20:56:38.89 ID:X2S/KtAR0
「やはり、私の剣なら貴様を切り裂けるようだな」
隣では、ミノタウロスが俯きに倒れ、ぜはぜはと息を切らしている。背中には、真新しい一文字の傷がしっかり刻まれている。本当にとんでもない連中だ。
俺は、立ち上がって剣を抜き炎魔将軍へ詰めよる。痛みと、冷たい汗が止まらないが、そんなことを気にしている場合ではない。
ふらりふらりと近づいてくる俺に、炎魔将軍は勝ち誇った顔を見せている。そうやって油断していろ。俺は、細く長く息を吐きだし肺の中から古い空気を追い出していく。ついに空となった肺は、新しい空気を求め大きく息を吸い込んでいく。十分な内気の高まりを感じ、それが頂点へとたどり着いた瞬間、俺は弾かれたバネのように剣を突く。
剣先は、まっすぐ炎魔将軍の喉へと向いていた。しかし、炎魔将軍はまるで俺の狙いがわかっていたかのように僅かな動きでそれをかわした。
「私と戦う奴は、みなそう考えるんだよ。だが正しい選択だ。私の剣は、お前の剣すら斬ってしまうだろうからな。武器を失いたくないなら、そうやって突いてくるしかないぞ!」
「くそっ……」
「なに、わかっていればお前だって突きを避けるなど造作もないだろうよ。それ、試してみろ!」
炎魔将軍の鋭い突きが、続けざまに襲い掛かってくる。急所をかろうじてかわすが、腕とふとももに受けてしまった。歯を食いしばり、負けじと突き返すが、こちらの攻撃はまるで当たらない。こちらは、睡眠不足で魔物たちとの大乱闘を経てるんだ、そのうえ脇腹の深手を考えれば無理もないことだった。
「だったら、こうだっ! 」
俺は、自身の剣を投げ捨てる。
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