159: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/04/07(日) 14:15:05.11 ID:NdD66LHM0
「千鳥足テレポートも覚えた。もう二人で飛ぶ必要はない」
そう、俺は成長した。
なんたって俺は勇者だ。誰よりも才能に溢れ、女神の加護を受けた俺は人一倍の成長力を有している。
現に見てみろ、かつて一杯のビールでふらついた足が今では浮つくことなく地面に確固としてその存在を主張している。
「魔王は俺一人で見つけ出す。そして生かしたまま君の前に引きずり出してやる。だから君は、酒でも飲んで待っていろ」
「私がそばにいるとまずいって言うの?初めて会ったときに行ったわよね、貴方は危なっかしいって。あなたを一人にするなんて無理よ」
「それは……俺ではなく魔物を気遣っての言葉だな」
隣席から、猛烈に沸き上がる怒りの波動を感じる。
ちょっとした嫌味のつもりだったが、その怒り様を見るに本当に俺のことを心配してくれているのだ。
それはそれで嬉しいし、自分の心無い言葉に猛省もする。だが、俺がそれに怯むことは無い。
彼女を如何に怒らせようと、たとえ嫌われることがあろうと、そう為さねばならない理由があるからだ。
「俺は今日見たいなことは二度とごめんだ」
「だから、それはごめんなさいって謝ったでしょ」
「謝る謝らないの問題じゃないんだ」
「そう!貴方はそんなに、炎魔将軍が大事なのね!」
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