158: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/04/07(日) 14:14:37.59 ID:NdD66LHM0
「君の名は」
ようやく、俺の問いかけが尽き。しばしの沈黙が流れた。
遊び人は、最後の俺の問いかけに対してか何かを言いかけたものの息を吐きだすに留まった。
「私は、ただの遊び人よ」
彼女は、俺の心からの問いかけにそう答えた。
この期に及んで、秘密を明かすつもりは毛頭ない。そういうことなのだろう。
「いい加減にしろ」という言葉が喉まで出かかった。
だが、所在なさげに自身の頬を撫でている彼女を見てハッとした。
「痛むのか?」
「ちょっと痒いだけ」そう言って彼女は炎魔将軍にやられた傷を再びさすった。
俺は、彼女のその姿から目をそらさずにはいられなかった。
「もう終わりにしよう」
まるで恋人の会話みたいだな。
「まるで、恋人みたいな言いぶりね」
以前の俺なら、頬を染めていたに違いないであろう言葉も酒の助けもあってか今なら難なく言える。俺も成長したものだ。
……成長?本当に俺は成長したといえるのだろうか。
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